こんにちは。旅人といいます。
私が好きな漫画のひとつに「修羅の門」というものがあります。
平たくいえばただの格闘漫画なんですが、そこに盛り込まれている作者の非常に強いメッセージ性が一番の魅力です。
この漫画、10年ほどの連載で終わるんですが、興味深いのは連載終了に至った経緯なんです。
作中、一番最後に挑んだ相手も自分も満身創痍の状態ながら、かろうじて主人公が相手をマットに沈めます。それでも相手は立ち上がります。フラフラでもう攻撃なんてできない体で、最後の最後まで食い下がります。自分の住む、スラム化した村の貧しい子供たちのために。
主人公はそれに応え、ケガだらけの体で全力で攻撃を打ち込みます。結果、相手は命を落とすことになります。
この描写に読者の批判が多く寄せられます。「なぜ相手を殺める必要があったのか」「殺人者が一番強いなどと言わないでほしい」と。
でも大事なのは、作者が主張したかったのはそこではなく、折れた剣をなおも振りかざし、戦うことをやめない相手。それに手加減をすることなく、ましてや同情なんてすることなく、折れた剣で全力で応じる主人公。そこだと思うんです。
長年描き続けてきた作品の中で、自分の言いたかったことが伝わっていなかったことは、結果的に作者のモチベーションを失わせることになります。
…私が作者らしいなと思う描写がもうひとつ、終盤にあります。主人公は優勝賞金を携えてその村を訪れます。差し出した賞金をかすめとろうとしたその村の子供に主人公は「全力で」蹴りを食らわせます。主人公は言います。
「このカネはあいつが命を捨ててまで得ようとしたカネだ。このカネを持つ資格があるのは、オレから戦ってとれる奴だけだ」
怖いと思う気持ちに逃げずに立ち上がり、戦う意思を子供が見せた刹那、主人公が村を去ります。
「前に言ったろう…。戦うってことは怖いってことだ。そしてそこから逃げない…ってことだってな」
読み返すと今でも涙が出てくる描写。お気に入りです。
みなさんは何を感じ、どんな感想を持ったでしょうか?
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