お返事ありがとうございます。
しかし、私の足りない文章のため誤解があるようなので詳しく状況を説明しておきます。まず、私はポメラニアンとビーグルと比べているわけではありません。ビーグルもよく吠えるし、運動量も多く動き回るし、それなりにしつけは大変です。そして、めぐのすけさんのおっしゃるようにしつけは犬の責任ではありません。飼っている者の責任です。
また、この犬はもともと彼が飼っていたものです。私がこの犬と初めて会ったのは2年前くらい、彼の母親が犬を世話し始めたのは、彼と同居し始める少し前からなので同じ時期になります。お義母さんが7年も育てていたわけではありません。
私が2年前にこの犬と会った時は、今の何倍もひどい状態でした。唸る、吠える、だけではなく、少しでも気に入らないことがあれば、すぐに、彼でもお義母さんでも(例えば、すぐそばで、足を組替える、手を振る、テーブルにふきんがけをするなど)すごい険相で噛み付くといった始末でした。彼は噛まれた時は、痛さから我を忘れて犬を蹴ってしまうということも度々ありました。後で落ち着くと、暴力をふるってしまったことに自己嫌悪に陥っていました。それで、ますます犬を刺激しないように気をつけるようになり、犬の問題行動を助長させるといった悪循環でした。
私は、座敷犬の典型的な問題行動を始めて目の当たりにして非常に驚きました。そして、この犬の問題行動の原因は、
@ 犬と一日中、べったりでむやみに抱いたり、話しかけたりする。
A 小さくてかわいらしいので、必要最小限しか命令をすることがなく、しつけトレーニングの機会を作らない。
B やはり、かわいさのあまり、日常生活で犬に我慢をさせることを全くせず、しつけトレーニングの機会がない。
ではないかと考えました。
このような飼い方をしていれば、犬は自分のことをリーダーだと思ってしまいます。人は自分の要求どおり動く部下であり、家は自分の縄張りなのです。こうなると、犬は問題行動を起こすようになります。ドアを開け閉めすれば、自分の縄張り内で勝手なことをしたと吠えるし、ちょっとでも気に入らないことを人がしたならば、部下をたしなめ自分がリーダーであることを解らせようと噛み付くわけです。
犬はもともとリーダーを中心として群れで生活する本能をもつ動物です。だから、家族の中にリーダーがいなければ、犬は本能から群れを守ろうと自分がリーダーになります。そして、このような問題行動が起きるのです。人がきちんとしつけないことで、犬がしかたなくリーダーを務めているのに、それによって起こった問題行動の結果、蹴られたり、叩かれたりするのでは犬が気の毒です。私は、犬と人間が上手くやっていくためにしつけは必要不可欠だし、飼い主の義務だと普段から考えています。
もっとも、飼い主がどんなに飼っている犬に噛まれようと、吠えられようと、全然気にならないし、嫌でもないし、近所にも迷惑かけていない、というのなら問題行動をほったらかしにしていても私は構わないと思います。でも、その行動が我慢できないなら、ちゃんとしつけをするしかありません。
ポメラニアンは確かに臆病で警戒心が強い性格だと感じます。しかし、だからしつけは出来ないというのは誤解です。そうではなく、その見た目のかわいらしさ、小ささから、飼い主がポメラニアンの犬の本能を無視して、ついつい赤ちゃんのように育ててリーダーにしてしまいやすいのだと思います。これは、おそらく広く座敷犬に共通するのではないかと思います。座敷犬を飼うなら、本当は飼い主は人一倍、自分の欲求のままに犬を甘やかさないように気をつけるべきです。
彼は子供の頃、ポメラニアンを2匹飼っていたそうです。そのポメラニアンは2匹とも問題行動を全く起こさず、大変育てやすい犬だったといいます。(その時は、非常に厳格な彼の父親が中心となって、犬をしつけ、世話をしていたそうです)その経験から、彼はポメラニアンを大変育てやすい犬だと思い、今の犬を購入したようです。しかし、この問題行動にほとほと困り果て、こんなはずではなかったと、犬のカウンセリングに通ったり、犬を手放すことも何度も考えたそうです。私は彼の話を聞いて、しつけもきちんとしないで、犬を手放すなんて、そんなことを考えるのはおかしいと思いました。それでは犬がかわいそうだと思ったのです。
そこで、まず始めに生活習慣から変えることにしました。ベッドで一緒に寝るのをやめて、朝も一緒にご飯を食べることをやめました。彼は始めは犬と人間を区別することに抵抗を感じていました。しつけをすることをかわいそうだと思っていたみたいです。しかし、犬の問題行動に一番困っていたのは、他でもないその彼です。私は、犬をいい子にして、問題行動を起こさないようにすれば、蹴ったりすることもなくなるよ、と何度も説得しました。
最初のうち、めぐのすけさんと同じように彼は私に、「これはこの犬の性格だからしょうがないんだ」と言いました。そして、「ポメラニアンを飼ったことがないからわからないんだよ」とも言われました。その時はくやしかったけれど、ちゃんとしつければいい子になると信じて私も主張を曲げませんでした。それを彼にも信じてもらえるように、ああしたらこうしたら?というだけではなく、自分でもしつけを実践しました。
まず、私は犬に私の方が上だと解らせるために、いつも毅然とした態度で頻繁に「お手」や「待て」をさせるようにしました。犬が部屋を移動したがっていてドアを開けてあげる時、散歩に出かける時などしつこくさせました。また、犬が騒ぐ時は、おとなしくなるまで、けして構わず無視をすることにしました。しつけのポイントは、「感情的にならず、根気強く、毅然とした態度で」を心がけました。調教師になったつもりでがんばってきました。私は今までこの犬にどんなに嫌な目に合わされても暴力をふるったり恐怖を与えたことはありません。犬の態度は確かに変わっていきました。
決定的なのは、この犬に「おかわり」を覚えさせた時だと思います。それまで、この犬は「おかわり」を知りませんでした。「お手」と「待て」は出来ましたが、「お手」をさせれば、犬は目をつぶって命令されることを全身で拒絶していました。「お手」をするのに3分以上かかるのもしょっちゅうでした。だから、彼に「おかわりを教える」と言った時、彼は不可能だ、と言いました。しかし、私はこの犬にも出来るはずだと信じて、根気強くおかわりを教えました。結果、3ヶ月経とうとする頃、「おかわり」が出来るようになりました。これには彼も非常にびっくりしていました。
この頃から、この犬は私に命令されることにあまり抵抗を感じなくなったようで、前よりもなつくようになりました。おそらく「厳しいけど頼れる先輩」くらいに思うようになったのではないかと思います。そして、皆といる時、私の命令を待っているらしく私の動向を気にするようになりました。前は、夜中、犬がバスケットに入って寝ている時に撫でたりしようものなら、唸って噛み付いていたのが、今では、尻尾を振っておとなしく撫でられるくらいになりました。
明らかに犬が私になついて、いい子になっていく様子を見て、彼は私を信頼するようになりました。彼も最終的に良い結果になることを確信したのか、同じようにしつけるようになりました。今では、この犬は彼と私が二人だけの時、例えば、彼の母親の就寝後、や彼女が旅行でいない時は、ほとんど問題行動を起こさないのです。
前は、彼の母親が就寝したら、彼は玄関を出ることが出来ませんでした。出ようとすれば、犬がけたたましく吠えて母を起こしてしまうからです。彼は夜中にタバコを買いに行くことも出来ない、とぼやいてました。最悪の場合、犬をわざわざ抱いて出かけるしかありませんでした。しかし、今では、彼女が寝てしまったら最後、犬は全く別犬になったかのようにおとなしくいい子になるので、二人でコンビニに出かけようと玄関を出ても、全く吠えません。こうなると生活はとても楽になります。「夜は静かでいいね」が口癖になっているくらいです。
ウチの場合は、犬の問題行動は、彼の母親さえ普段の生活からしつけを心がければ直ることは明白なのです。もう、あと一歩の時点まできているのですが、ここで停滞して何ヶ月も経っています。そして、最近ではこれ以上、進まないような気がしています。彼は朝が最も憂鬱だと言います。寝起きの悪い彼は、朝から気持ちよく出かけたいのに、犬が気が狂ったように吠えまくるので本当に気分が悪くなるそうです(私は同居はしていないので、朝の様子はあまり知りませんが)。なので、犬をしつけさえすれば、いい子になるのが解っている今、彼はよく「おふくろさえいなければ、ほんとにいい子なのに」と言っています。(もっとも、このつぶやきを彼女が聞けば本気でやるのかもしれませんが…)
私は個人的には、家族の中で犬が一番下位にいることの方が犬にとってもいいことなのだろうな、と感じています。だって、自分の部下を支配するため、縄張りを守るため、に常に様子に気を配り神経を使うよりも、頼もしいリーダーにそれらをすべて任せられた方が、ストレスも少なく気が楽でしょう。人間だって、上司になればストレスも増え大変です。夜、私たち二人といる時の犬のくつろいだ様子を見れば、それを実感します。
ここまでいろんな方法をつくして努力してきたからこそ、あと一歩のところで上手くいかないことに疲れてしまいます。原因と手段がわかっていて、不可能ではないのに、どうにもならない状況なのです。さきほども、彼の母親と二人でいた時、犬は二人の顔を見比べて喜んで私の方についてきました。こういう態度を見れば、可能ならば私が犬を連れ帰り、毎日しっかりしつけたいと思ってしまいます。しかし、それができず彼女に任せなければいけないのがとてももどかしいのです。
そして、度々、犬のことが原因で人間関係がぎくしゃくすることを考えるとこんな犬はいらないと本気で考えます。これは、その時は、皆そう考えるようです。犬も大切だけれど、やはり人間関係の方が大事だと思ってしまうのです。その時、私はなにもかも面倒くさくなって犬に殺意まで感じてしまうのです。今まで努力してきた分、閉塞感や怒りを感じてしますのです。
ウチの状況は今このようになっています。説明が足りなかったためにめぐのすけさんにも誤解を与えてしまって申し訳ありません。だから、ポメラニアンでもちゃんとしつけは出来ますよ。もし、問題行動に困っていたら家族で一致団結、本気になれば大丈夫です。いろいろ我慢させたりするのは始めはかわいそうな気もしますが、慣れておとなしくなれば、神経質な様子もなくなり、犬にも精神的に良かったんだな、と実感できるはずです。きっと成功すればすごく気持ちいいと思いますよ。ただ、一致団結できないとウチのようになってしまうのですが…。それが出来るご家庭が本当にうらやましいです。