みなさん、ハンチントン病という言葉をお聞きになったことはあるでしょう
か?ご存じない方にこんな病気があるということを認識して頂きたいのでお
話していこうと思います。
ハンチントン病は遺伝性の精神疾患で、国の特定疾患に指定されている病気
です。世界的にも非常に稀な病気、日本に限ればさらに稀な発症率の病気で
す。
主な症状は精神的な緊張状態からくる筋肉の硬直を伴った、身体の不随意運
動。つまり本人の意識や意志に関係なく手足が勝手に動いてしまう病気で
す。「手足が勝手に動く」といっても漠然としていてイメージしづらいかも
しれません。手先足先の震え、体がピクッとする…という程度のものではな
く、まるで操り人形が操られているかのような大きな動き、まるで踊ってい
るかのような動きをすることから、俗称で「舞踏病」と呼ばれることがあり
ます。従って力加減を必要とする行動は大抵うまくいかなくなります。主な
症状はその不随意運動なのですが、発症から症状が進行するにつれて認知
症、うつ症状、情緒不安定、幻覚幻聴、特定の事象に対しての執着、判断力
注意力の顕著な低下、社会適応性の欠落などが複合的に表れ、言うなれば不
随意運動と統合失調症が合わさったようなものと考えてもいいと思います。
現在この病気を治す方法はなく、発症から10年を目処に亡くなるということ
です。
私の父は若いときから手先の細かい作業があまり得意ではなく、動きが大雑
把なところがありました。静かに動くということが得意ではなかったんです
ね。チック症状に似た動作を見せたりもしました。
近年、建設業の規模が縮小し父が職を失うことになったくらいから、その動
きにやや変化が見られるようになりました。食器を洗ったりしまったりする
ときに手を滑らせ割ってしまったり、浴室にある壁掛けのフックや鏡、台所
にある布巾などをかける回転可動式の細いハンガーみたいなものを壊してし
まったり、ドアを静かに開け閉めできなくなったり、テーブルの上に置いた
手の爪でカタカタと目立つ音を出すようになったり、車の運転が急発進急停
止ぎみになったり。それでもそのときは家族は気にも留めませんでした。父
の特徴、性格からくるものだと思っていたので。
ところがつい最近、情緒不安定な言動、妄想や被害意識が非常に強くなり、
家族もさすがにおかしいなと思い始め、検査入院をした結果、ハンチントン
病だという診断がなされました。
今思えば、父の特徴からくるものだと思っていた様々な事象が、生まれもっ
ての稀少なハンチントン病の遺伝子が原因だったということで、遺伝子によ
って動かされる父の人生と考えれば多少の同情の余地はあるものの、我々に
特にショックはなかったので、その部分は医者も驚いていたようです。
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