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408だいぶ時間が経っているので,これを書き込むことにはたして意味があるか
どうか分からないのですが,ちょっと書きたかったので,書きます。あるい
は似たような疑問を持ってここを見る方がおられるかもしれませんからね。
純正調/平均律の問題は,どうしても難しい話になるので,簡単に書くのは
大変なのですが...
まず,この話は「音程」の話ですから,Hz(振動数の単位)で語るのには
無理があります。同じ音程でも,たとえば「1オクターブ」という音程の場
合,ピアノの一番下から二番目の「ラ」は55Hzで,その1オクターブ上の
「ラ」は110Hzですから,その差は55Hzですが,ピアノで一番高い「ラ」は
3520Hzで,その1オクターブ下の「ラ」は1760Hzですから,差は1760Hzに
もなります。同じ「1オクターブ」でも,Hzで比べると,音域によってこん
なに違ってしまいます。
でも,ここまで読んで,気がついた方もおられるでしょうが,どの音域でも
「1オクターブ」というのは,振動数の比が1:2になっています。この
「比」が,つまり「音程」なのです。比で言うと,
オクターブは1:2,
五度は2:3,
四度は3:4,
長三度は4:5,
短三度が5:6
…というふうに続いていきます。これが,きんととさんの言われる「自然の
音程比」です。ピアノなどの平均律楽器や,チューナーの「まんなか」で
は,この比が,うまくいかないから,濁るのです。
ところで,鍵盤や楽譜の上で,一番小さな音程は「増一度」あるいは「短二
度」,つまり「半音」ですが,もっと細かな音程を表す言葉に「セント」が
あります。1セントは半音の百分の一,100セントがちょうど半音です。平均
律での「半音」の比率は,1:1.0594630943593...,これは「2の12乗根」で
す。「1セント」は1:1.00057778950656...,これは「2の1200乗根」になりま
す。つまりこの数を1200回も掛けていくと,もとの数の2倍つまり1オクター
ブ上になるわけで,1オクターブを1200に細分していることになります。
(ちなみに,純正調での「短二度」は15:16だと思います。)
長三和音の第三音,つまり「ドミソ」の「ミ」は,平均律より13.6863...(約
14)セントだけ低くすると,完全に協和します。「ドミソ」の「ソ」は
1.9550...(約2)セント高くします。2セントはほんの少しなので,ほぼ平均律
と同じと考えて良いのですが,14セントは,耳で聞いてもはっきり分かるぐ
らいの違いがあります。
.....やっぱり「簡単に書く」のは「難しい」ですね。
簡単に書けなくてごめんなさい。
でも,私の周りでみんな使っているコルグのチューナーでは,その「第三
音」を合わせるところに,三角形のマークがついていますよ。そこを目指し
て合わせるといいというわけです。マイナス側についている三角マークが長
三和音の第三音で,プラス側の三角マークが短三和音の第三音です。短三和
音(ラドミ,レファラ,ミソシ など)の場合は,長三和音(ドミソ,ファ
ラド,ソシレ など)とは逆に,第三音を高くとるのです。
でも,結局は,きんととさんが言われるように,耳で探るのが一番です。ま
ずはチューナーの三角マークや,ヤマハの「ハーモニーディレクター」など
を使って,純正な和音というのはどういうものかを体験したら,今度はそう
いう機器や理論に頼らず,耳でそれを聴き分けられることを目指さなけれ
ば,実用にはなりません。
難しくて ごめんなさいね。