[相談]
少年の矯正・更生に関心のある方は、草薙厚子さんが書かれた「少年A矯正2500日全記録」(文藝春秋)という最近でた本を読むことをお勧めしま
す。
少年A、つまり神戸・連続児童殺害事件を引き起こした酒鬼薔薇聖斗の更生
までの道のりについて書かれたものです。現在、彼は医療少年院を仮退院中
ですが、本を読む限り更生が成功したように思えます。この本を読めば、矯
正の全体像が分かる他、矯正教育の持つ素晴らしさというものが、本当に実
感されると思います。(不覚にも泣いてしまいました)
「少年にも厳罰を」という声が聞かれますが、ただ刑を重くすればいいとい
うのではないと思います。むしろ、この少年Aのように、更生への努力を重
ね、良心を芽生えさせ、更生が進めば進むほど、罪の十字架は重くなるかと
思います。ポジティブな意味での「厳罰化」ということです。
そして、更生された少年が、被害者・被害者家族に心から詫び、汗水して働
いて被害者家族に生涯お金を送り続ける。命日などには墓前に花を添えに行
き、毎日のように、寝る前に亡くなった被害者の方の冥福を祈る。被害者の
苦しみを胸に刻み、一生罪の十字架を背負って生きていく・・・
こういった償いこそが、真に被害者家族の心を救うのではないでしょうか?
ただ少年を死刑にするだけでは、被害者家族の心は癒されないでしょう。一
時の解放は得られたとしても、何十年後か振り返った時には、何も残らずた
だ憎しみ・悲しみがそこにあるだけです。
この少年Aについては、事件の残虐性・少年の特殊性に鑑み、国家的ともい
えるプロジェクトで取り組みにあたられました。だから、全ての少年にこの
ような矯正の整備ができるわけじゃなく、完全に更生に成功したと思われる
ケースは、とても限られた数でしかないかもしれません。
それでもサジを投げるよりかは、こうした成功例を信じ、更生の可能性にか
ける方が、少年は言うまでもなく、被害者の方々にとっても建設的なものに
なるのではないでしょうか。
と、私は思うのですがみなさんは、「被害者側の要求と矯正」について、い
かかがお考えでしょう。一般的な意見ではなく、率直な個人の考えを知りた
いのです。
ちなみに同本は、親(特にお母様)にとって、第二の少年Aを作りださない
教育の仕方のためにも参考になると思います。