木戸浩一さん、こんばんは、ご質問の件、某銀行員として一言
まず、ご自身のご発言について、コメント
>お金を眠らせておくだけではインフレになれば値打ちが下がる
インフレというのはおカネの価値が下がることですが、
逆の言い方をすればモノの価値が上がること、つまり
おカネよりモノを持っていたほうが有利になる、ことですね。
となると、インフレの時に企業は、モノの価値と比べて
価値の低いおカネを集め、価値の高いモノを作ったほうが
儲かるので、生産設備、つまり、工場の拡大を目指し
投資を始めます。
当然、工場を拡大するにはおカネが必要になるのですが、
普通は手元の資金では足りず、借金をしたり社債を出して
外部からおカネを集め、おカネを出した人に金利を払います。
一方で別の企業も、工場の拡大が有利、という判断をするので
おカネ集めが必要になり、各企業間でおカネの取り合いが始まり
その結果として、借入金利の引き上げ競争が始まるわけです。
かなり荒っぽい説明ですが、以上の順番でインフレの時には
金利はあがっているので、タンス預金ではムリですが
銀行預金ならソコソコの金利が付いていることでしょう
さて、ご質問の外国債ですが、表面の金利につられて
投資することはあまりお勧めしません。
まず、投資の検討には、元本の安全性と、金利の高低の
二点に分けて整理することが必要です。
豪国債、先進国ですから、元本の安全性は大丈夫でしょう。
米国に言わせると、日本の国債より安全だそうですから。
最近、アルゼンチンだのブラジルだの、頭一つ抜きん出た
発展途上国の国債を、投資のプロが高金利につられて
まとめて買ってしまい、大ケガしたことはご存知でしょ?
「元も子もない」とはまさに、こういう状態のことです。
次に金利、豪ドルのMMFが4%ということですが、
金利は円でもらえるんですか?ここが外債のミソです。
仮に年に2回の利払いだとしましょう、半年後2%分の
豪ドルの金利をもらったところで、で、どうします?
その頃豪州旅行に行くのなら、豪ドルの現金が一番です。
でも、そんな予定が無いのなら、豪ドルのまま預金しますか?
円に交換しますか?そうです、為替相場がからむのです。
(金利に限った言い方ですが、元本についても同じことです)
為替予約(先物)があるじゃないか、とおっしゃるかもしれません。
文字通り、銀行なんかと将来の為替レートを契約しておくものですが
銀行も商売ですから、その将来の交換レートは、結局、
円のまま預金していたのと同じになるように計算します。
その上、円→豪ドル、豪ドル→円、と2回通貨交換して
その分の手数料も取られてしまいますよね。
米ドルだと1ドルあたり1円、つまり1%近い手数料です。
また、マイナーな通貨だと、その分割高な手数料になるので
ますます不利な投資、ということになりかねません。
ということで、少々回りくどい説明になりましたが、
外債(外貨)投資は、為替リスクが最後まで付きまといます。
つまり外貨投資は、現に外貨を持っているとか、将来、
その外貨を使う予定でも無い限り、意味の無い投資ですし、
手元の円資金を投資して円で満期を迎えるのなら、
円預金と同じ利回りで、為替手数料の分だけもったいない、
と、私は考えます。
もしそれでも高利回りなら、元本が減るリスクがどこかにある、
と考えたほうが身のためだ、と申し上げておきましょう。
なお、MMFも元本割れリスクがあるので、念のため。
ただ、お小遣い(生活を追い詰めることの無い金額)の範囲なら
世界経済に目を向けるきっかけ、としては、いいことだと思います。
ついでに、金の現物投資(いわゆる金積立)も、ご懸念の
インフレヘッジ(モノですから)には最適だと思います。
以上、老婆心ながら、長くなりましたが、乱文はお許しを
To:とっつあん
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主題:
外国債や外貨貯金の話