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996「マゼラン」では、タンバリンの奏法やグロッケンの装飾音符などに
続いて、この「Taiko Drum」がよく話題にのぼります。
結論から言って「Taiko Drum」という楽器はありません。
「Taiko」は文字通り「太鼓」で日本語です。「Drum」は英語で同じく
「太鼓」です。結局「太鼓太鼓」と言っているようなもので、そんな
おかしな言葉はありません。
「Taiko Drum」は「MIDI」というシンセサイザーをはじめとした電子
楽器の規格の一つで、そのなかの音源名に「Taiko Drum」というのが
あります。
現代の作曲者は、作曲をするのにコンピューターを使います。楽譜を
印刷したり、音を確認したり、ネットで作品を送るのに便利だからです。
「和太鼓」と言っても「テンステテン」といったハイピッチの「締太鼓」
もあれば「ドンドン・ツクツク」という低いピッチの「長胴太鼓」も
あります。
作曲者はこの曲で「和風の太鼓の音」が本当に欲しかったのでしょうか?
どちらかというと「タイタニック」や「リバーダンス」などのケルト風
音楽、それに「パイレーツ・オブ・カリビアン」などに似た雰囲気の曲想が
展開されます。そんな中にはたして「和太鼓」の音が本当に必要で
しょうか?しかも「締太鼓」や「長胴太鼓」などの区別もなく、ピッチの
高さも不明です。
この作曲者の他の作品の曲想、そして打楽器をこれだけ効果的に使う点
から、そんなあやふやな指定をする作曲家だとはとうてい思えません。
検討して考え抜いた末、「Taiko Drum」=「和太鼓」でも構いませんが
短絡的に「Taiko Drum」=「和太鼓」ではたして正しいのか、いつも
自分は疑問に思います。