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35 過って火事を起こしてしまう事を「失火」と言いますが、この失火につい
て、明治に出来た法律で、「失火責任法(略称)」ってのがあるんです。
これには、非常に短い法律でして、要約すると、「失火によって他人に損害
を与えてしまっても民法709条は適用しませんよ」と書いてます。
民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される
利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」とな
ってますので、通常ですと、失火によって他人に損害を与えてしまった場合
は、賠償責任があるんですが、失火責任法というのは、失火の場合は、この
責任はないですよと言ってるわけです。
しかし、全部が全部大丈夫というのではなく、失火の原因が重過失であった
り、また失火ではなく故意による放火であれば、当然賠償責任が生じます。
この重過失ってのは、結構難しい解釈でして、個々の事例を裁判によって判
断するしかありませんが、「普通の人なら当然守るべき事を守らなかったた
めに(或いは普通の人なら防げる程度の注意を怠り)失火となってしまった
場合」は、重過失になる可能性があります。
例えば、阿蘇の火事のことは知りませんが、その男性が、車の中の座席シー
トの上なんかにコンロを置いて、引火しやすい物をその周りに置いていた場
合等であれば、重過失になって、損害賠償の対象となり得ますね。
野外でのバーベキュー等、これからの季節楽しいですが、十分注意しましょ
うね。