出べそ(半出べそ)で悩んでいる人は多いみたいですね。人にはそれぞれ悩みがありそれが深刻であることも理解しているつもりです。私はそれとは逆の形で悩んだことがありました。私のおへそは縦線５ミリ程度の長さで自分の小指さえ中に入れることができません。もちろん丸型の穴など開いていなくて中にはゴマもひだも皺もありません。ピンセットで開けてみると中にゴマのたまる溝がかろうじて一つありますが、ゴマの姿を見たことは一度もありません。小学生のころ白い粉を練ったような臭いにおいのするものがあったことがありますが、今ではそれもありません。「あれでも人間のおへそ、普通穴が開いて中にゴマが入っているんじゃない？　楽しめないじゃない？」　「あなたのおへそって小さいね、あれでゴマが入っているの？」　「へそさえもちゃんと作られていないんだ」　持って生まれたものに対するそんな言葉を何度か言われたことがありました。いわゆる「おへその歌」で歌われているものとは程遠いものです。見た人はこんなへそをした人間がいるんだと不思議に思うはずです。でも思います、自分のおへそって何百代にもわたる祖先から受け継がれてきた結果生じた個性なんだなって。一種の芸術品なんだなって。もし私と同じようなおへそをした人がいたら素直な感想を聞かせてください。縦線５ミリ程度の点のようなおへそで、穴もしっかり開いていなくて、ゴマもひだも皺もないおへその人がいたら、出べそで悩む人に対するのと同じ気持ちで感想を聞かせてください。